むらさきのページ
「#私が父親を嫌いになった理由」から明らかになったこと
2018年の夏、Twitterで「#私が父親を嫌いになった理由」というタグが生まれ、女性たちを中心に父親から受けたセクハラなどの虐待を多くの人が告発し始めました。内容は、痴漢や性暴力などあからさまな犯罪から、胸や顔などの特徴をからかう、一緒にお風呂に入ってくる、生理などのセンシティブな話に容易に言及してくる、酔っぱらって横柄になる、お金を渡してくれない、などといったものでした。男性からも「『男だから強くなれ』と殴られた」などのツイートがあります。
私は9歳くらいの頃から、父親から度々性的な発言を受けるなどのことがあり、高校生の頃からそれを少しずつ人に話すようになっていましたが、それほど大々的に言えないでいたことが社会問題として大きく取り上げられたことに、とても希望を感じました。
大学を卒業して親元から自立するまで、私はこのタグを用いて自らの経験や辛い気持ちを積極的に発信し続け、今でも時々ツイートしたり、他の人たちの投稿をのぞくようにしています。
父から娘へのセクハラをめぐる日本の現状
日本は男尊女卑が未だに根強く(2018年、ジェンダーギャップ指数149ヵ国中110位 https://jp.weforum.org/reports/the-global-gender-gap-report-2018)、家父長制も当然多くの家庭で残っていると思われます。明らかに父親が威張っているわけでなくても、父親が息子より娘を異常にかわいがる、心配しすぎて過干渉になる、といったことが起こっています。「そりゃお父さんは娘のことを心配しちゃうものよ、かわいいんだもの」「娘が嫁に行かないでほしい」このような発言が当たり前のようになされています。しかし、とくに自立を志向する娘にとっては、一人の人間として扱ってもらえない、十分な距離をおいてもらえず不快だ、私は父親の所有物ではないのに、と苦痛を感じることがあります。
男尊女卑とあいまって、家庭内のことには干渉しない、家族の絆が第一、といった固定観念もまた、この問題を見えなくしていると考えられます。こうした社会において、「女」であり「子ども」である娘というのは、とても弱い立場にあるのではないでしょうか。
さらに、こうした風潮があまりにも根強く、父親も娘も問題に気付きにくいこともあるでしょう。父親は自分が悪いことをしていることに気付けず、娘もまた「自分の思い込みだ」「親なんだからセクハラなんてするわけがない」と、父親からされていることへの違和感を圧し殺してしまうのだろうと思います。
娘が感じる不快感が、「お年頃」「本当は父親のことが好きなのだ」といった言葉で片付けられてしまうのも、問題の大きな背景です。
当事者から皆様へ
当事者の一人としての私の願いは、父親が娘を所有物のように扱う風潮が一刻も早くなくなることです。
このページを読んで、「この子は一体何を言っているんだ?」「“お年頃”がまだ終わっていないんだ、微笑ましいな」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
「かわいい」「小さい」「守ってあげなきゃ」「従順になれ」そういった圧力を感じるのが、一人の人間としてどれだけ苦痛なことであるか、当事者でないとなかなか分からないかもしれません。
当事者に出会ったら、「お父さんは娘をかわいがるものよ」「お父さんに対して嫌だと思っちゃう時期なのよ」といった安易な発言をするのは、絶対にやめてほしいと思います。
これを社会問題だと認識している人が大変少ないため、様々な人にこの問題を分かりやすく伝える方法を私も模索しています。私の声が被害当事者を中心に一人でも多くの人に届き、様々な人と助け合って問題を解決していくことを願っています。
参考
「#私が父親を嫌いになった理由」についてのニュース記事
https://www.huffingtonpost.jp/2018/08/08/watashiga_a_23492756/
タグへのみんなの反応
https://matome.naver.jp/m/odai/2154219838592822501
こどもたちへ
おとうさんに、からだのことをからかわれたり、じぶんのものにしつこくさわられたり、いやなことをいわれたり、されたりしたことはあるかな?
ちょくせつからだにさわられたり、ぼうりょくをふるわれたりしなくても、それはぜったいにいけないことです。
つらいきもちをひとりでかかえこまないで、スクールカウンセラーなどのちかくのおとなのひとに、はやめにそうだんしよう。