遠山公子@フラワーデモ
○○駅をご通行中の皆様、こんにちは!遠山公子です。すでに様々なSNSで活動しているので、もしかしたら私をご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
私は、女性蔑視の根強い牧師家庭で育ちました。10歳になる頃、父親に体が成長し始めたことをからかわれました。その後も、写真やビデオをしつこく撮ってくる、偶然かわざとかは分からないが、下着を触る、着替えているところやお風呂に入ってるところに遠慮なく近寄ってくる、強引に話しかけてくる、やめろと伝えてもじろじろ目で追ってくるなどのことに10年以上苦しんでいました。触られたりはしなかったものの、父が私を見る目はまるでポルノグラフィーを見ているように感じられました。
母は同じ女性として私をかばうどころか、セクハラではないという父の言葉をうのみにし、「親子」として、私と父との関わりを強引に促し続けました。
父は牧師であり、礼拝の中で、父との関わりを避ける私の態度を笑い話にしました。教会には闘病などで苦労をされている方々も来ており、母には「みんな傷だらけで教会に来ているのよ、あまったれてるんじゃない」などと言われ、私は気持ちを押し込められていました。
教会には私と年の近い人たちも来ており、その人たちが次々と結婚していってみんなに祝福されて幸せそうにしているのを見ていました。その一方、私はひとりぼっちで、小さな教会に閉じ込められ、気持ちを押し込められ、傷つけられているのが、くやしくてたまりませんでした。そうした状態が何年も続いていました。
大学に入り、私は性差別などを扱う授業を積極的にとりました。ちょうどその頃、「#Metoo」のタグが出てきたり、伊藤詩織さんが出てきたりして、さらにツイッターで「#私が父親を嫌いになった理由」というタグが出てきました。「#私が父親を嫌いになった理由」では、生理が来ると「これでお前も女だな」と父親に言われる、嫌がるのにスキンシップをしてくる、お風呂に一緒に入ってくる、などの被害がつづられていました。そういったことをされて父との関わりを避ける娘は「お年頃」の一言で片付けられます。娘は父親を嫌う時期があるものだ、と。そういう風潮がまだまだ強い中で、痴漢やレイプには至っていない私の被害を、私の気持ちを、どのくらいの人がわかってくれるのか、正直不安も少しあります。
聖書には「妻たちよ、自分の夫にしたがいなさい」という言葉が書いてあります。
キリスト教はもともと男尊女卑の宗教ではありませんでした。古代ローマから続く男尊女卑の社会において、聖書の言葉が都合よく利用されるようになったとも言われています。父も礼拝のメッセージの中で、「女性のうちには相手を支配しようとする傾向がある。それが地域や社会に悪影響を及ぼしている」というメッセージをしています。家庭での横暴な父を見ると、事実上は、男尊女卑、家父長制を正当化するためのものだと感じられました。自分が女性を子どもをどれだけ物扱いしているのか、どれだけ自分の権力や快楽のために使っているのか、そういうことをまったく自覚せず、女は弱いから男がおさめなければならない、そう父は主張していると捉えられます。
ちょうど一年前は、もうすぐ自立するというところで、引っ越しの準備をしていました。これまでにもましてしつこく父親が関わりを要求してきて、とても苦しんでいました。ツイッターで毎日のように、辛い気持ちを赤裸々につづっていました。でも、無事自立して、今こうして自分の気持ちを発信することができています。
親の教会以外の場所でたくさんのクリスチャンたちに出会い、私は今も神様を信じ続けています。神様が必ず守ってくれる。正しい裁きをしてくださる。この社会を変えてくださる。私を幸せにしてくれると、信じています。
まだまだ未熟であり、色々な人の意見を聞きたいと思っています。
私が何より願っているのは、差別や虐待の問題を皆さんに知ってもらうことです。ここまで生きてきて感じているのは、「無知」が人を一番傷つけるということです。この問題を知らないから「親子なんだから仲良くしなよ」「たまには家に帰りなよ」などと言ってしまうのです。そう言うひとたちは、差別や虐待を許容しているわけではもちろんありません。
心ないことを言われて、めげることもあるかもしれません。しかし、多くの人に、様々な人に、分かりやすい言葉で、かつ自分の気持ちをありのままに語っていきたいです。
みんなで問題を分かち合って、話し合って、社会を変えていきたいと思います。
ありがとうございました。
あとがき
最後までお読みいただき、ありがとうございます。これは2020年2月、私が親元から自立してまもなく一年という頃に、フラワーデモにて行ったスピーチです。
フラワーデモとは、相次ぐ性犯罪の無罪判決を受けて始まった街頭デモで、お花や「性暴力を許さない」のポスターを持ち、被害者、支援者などが自らの経験や意見についてスピーチを行うものです。北海道から沖縄まで多くの都市で、2019年の4月から2020年の3月まで毎月一回行われています。
私は2020年の2月にはじめて参加しました。はじめてのこともあり、見守るだけにしようかと思っていましたが、皆様のお話を聞いているうちに私も話そうと決め、自分の経験や気持ちを赤裸々に語らせていただきました。公の場で、自分の口で、これだけ自分の思いをありのままに語ったのは、はじめてでした。普段悶々と思っていたことを口にすることで、自分自身もある程度は気持ちが整理できたかなと思います。
イラストの服や持っているお花は、実際にスピーチしていたときとは異なり、このホームページのテーマカラーに合わせていますが、ツインテールはしていました。父親からのセクハラが始まった時期、もっとも露骨な性的嫌がらせを受けていた時期(小学校高学年頃)にしていた髪型です。
スピーチでも話したように、「こんな言葉で堂々と発信していいんだろうか?」という迷いと、「黙っていては社会が変わらない!」という強い気持ちの両方があります。後者の気持ち、「自分の気持ちに素直でいいんだ」という気持ちを大切にしながら、かつ一言一言を吟味しながら発信していきたいというのが、私の願いです。
フラワーデモについてはこちら
https://www.flowerdemo.org/
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