遠山公子@フラワーデモ その2

皆さんこんにちは。遠山公子です。
私は性差別の根強い牧師家庭で育ちました。体罰、セクハラ、神や聖書の言葉を利用した虐待などを受けましたが、家の外で出会ったクリスチャンたちに助けられ、私は今もクリスチャンです。現在は自立し、父親から受けたセクハラを中心に、自分の被害経験について発信しています。

今日は、ほとんどの方が知らないであろう、キリスト教の世界での性差別についてお話しします。

聖書には「妻よ、夫に従いなさい」という内容の言葉がかいてあります。聖書が根本的に教えているのは男女の平等なのですが、この言葉だけが一人歩きし、キリスト教では男尊女卑が根強く残っています。
私の父は、礼拝のメッセージで次のように述べています。
「女性のうちには相手を支配しようとする傾向があり、多くの女性はこれに気づいていない。夫を支配しようとすると夫は抵抗し、横暴な形で妻を支配しようとする。」
男性が女性を横暴に支配しようとするのは、女性に相手を支配しようとする性質があるから、女性のせいだというのです。
これは、男性が女性に加害する性犯罪において「女の方が誘った」「女に落ち度があった」と考える世間の風潮にも通じるところがあると思います。

父は、柿谷正期という70代の牧師の言葉を引用しています。聖書には「夫は妻の頭である」という内容の言葉がありますが、柿谷牧師によると、夫にも妻にも一票ずつの投票権があるが、夫にはさらに議長権がある、つまり、夫には最終決定権があり、妻はそれに従い、それを自分の意思とするものだというのです。
柿谷牧師の述べるようなことは、聖書に一言も書いてありません。
私は、妻よりもさらに弱い娘という立場にあり、性的な虐待を受け、それに抗議する私の意思を父はないがしろにしました。母も夫に従って私の気持ちを全く理解しませんでした。同じ女性であるにもかかわらずです。

MeTooやフラワーデモ、様々な団体や個人の活動を受け、社会は大きく変わりだしています。でも日本におけるたくさんの教会のコンクリートの壁の中では、平気でこのような言葉が飛び交い、許されないことが起こっているのです。

閉じ込められ、押さえつけられている私たちを、なぜ放置するんですか?

こうした牧師に向かって男女平等を話そうものなら、その牧師はあなたを、神や聖書を用いて、性差別へと導こうとするでしょう。そのような牧師やクリスチャンが、今私の話を聞いているかもしれません。その人は「ああ、この女性は幸せにはなれない、神様に愛されないだろう」と思っているでしょう。でもそれは間違っています。
キリスト教は元々、性差別、家父長制を正当化する宗教では決してありませんでした。聖書を読んでいると分かりますが、キリスト教が人を支配する道具に用いられていることに、神様も、キリストも、とても怒っています。

日本のクリスチャン人口は、全体で1%未満と言われています。私の話を聞いてくださっている方のほとんどがクリスチャンではないと思います。皆さんに対して何をしてほしいか、具体的に言うべきことは分かりません。でも、今私にできることは分かります。教会の中にいて苦しんできたこの私が、外に出てこの問題を皆さんに話すことです。私の話を聞いてくださった皆様お一人お一人には、どうか見て見ぬふりだけは決してしてほしくない。

同じように男尊女卑の根強いイスラム教、女人禁制という言葉のある仏教、女性が虐げられるカルト、宗教を利用した人間の支配、性差別は、あなたの身近にあります。
建物の壁に閉じ込められた被害者は、なかなか言い出せないでいます。自分自身が信者であると、自分が虐げられ、苦しんでいることにさえ気づけないでいます。声をあげると、神様に嫌われるんじゃないか、天国に入れないんじゃないか、そうした恐れが、私にも今までありました。
でも、神の教えを人が悪用している、差別や虐待が起こっている、それに対して何もしないことが、一番神様を悲しませ、みんなを悲しませることです。

私はもう黙りません。自分の気持ちに、決して蓋をしません。今なお親の教会に通う人たちに、私が親から受けてきた被害のことを、いつか話したいと思っています。
クリスチャンとして、私自身の目線で話をさせていただきましたが、分かりづらいところやお聞き苦しいところがあったら申し訳ありません。より多くの人、様々な立場の人がこの問題を知ることができるよう、これからも話し方を上達させていきたいと思います。
ありがとうございました。

あとがき

改めましてこんにちは。お読みいただき、ありがとうございます。
性暴力に抗議するフラワーデモに参加させていただいたのは、2回目になります。
2回目であることと、あらかじめ原稿をしっかりまとめておいたことで、前回よりも緊張せず、よりはっきりと訴えかけることができました。
クリスチャンとしての考えをみんなに話すことができたのはうれしかったし、キリスト教における性差別について、一人でも多くの人が、ちょっとでも知ったり考えたりしてくれていたらなと思います。
フラワーデモは、性暴力、性差別がなくなるまで続いてほしいです。そして、フラワーデモをやらなくなる日が、一日も早く来てほしいです。

やまのむこう

遠山公子の、虐待や差別問題に特化したサイトです。性差別、児童虐待、キリスト教界における問題などについて発信。

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